『カラフル』森絵都
人間という生き物は、程度の差こそあれど誰しもが“自分自身を演じて”生きているのではないでしょうか。
自分自身でいなければならないという使命感から己を“自分自身”という型に無理やりはめ込み窮屈な思いをしている人も少なくないと思います。
自分らしくないから、という理由でやりたいことを諦め、着たい服を我慢し、目指したい夢までも捨ててしまう。
そんなことがある人もいるはずです。
もしあなたの魂が身体を抜け出し、他の人の身体に宿ったら。
身体は赤の他人なので、もう何も演じる必要はありません。
自分自身にさえも縛られない本当の自分が姿を表すかもしれません。身体は他人ですが。
やりたいことをやり、着たい服を着て、目指したい夢に向かって努力する。
身体は他人ですが、魂は自由です。
身体は自分自身だけど魂は我慢している。身体は他人だが魂は自由。
果たしてどちらがその人自身であると言えるのでしょうか。
魂だけ抜け出して他人の身体に入るなんてなかなか現実では起こりにくいことなのかもしれませんが。
この小説は抜け出した魂が他人の身体に宿るお話です。
平易な文章で書かれており読みやすい1冊。
思春期の悩める子供や親戚がいたらプレゼントしたい。悩んでなくても。
人生に息苦しさを感じた時は、一度徹底的に自分のことを客観的に見てみませんか。
客観的に見ることであなたの世界は拡がり、モノクロだった世界はカラフルに。
もしかしたらなるかもしれません。
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