『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦
「今までの人生で読んできた本をすべて順に本棚にならべてみたい。誰かがそう書いていたのを読んだことがある。そういう気持ちが君にはあるか」
私の心に最も残ったのは樋口さんがおっしゃったこの言葉でした。
とは言っても、この一文が物語の中で大きな意味を持っているわけではありません。
ただ、私も一人の本好きとしてどうしようもなく同意してしまい、心に残る一文となったのでありました。
文体は好き嫌いが分かれる本かもしれません。
それでも私はとても楽しく最後まで読むことができました。
本棚の中の座右の書コーナーに入る一冊だと言ってしまっても過言ではないでしょう。
そこまでではないと言われる皆様も、最後まで先輩と黒髪の乙女のことを応援してしまうこと折り紙つきなのであります。
異議があるか?あればことごとく却下だ!
さて、この物語は黒髪の乙女に恋心を寄せる先輩のお話であり、
それ以上に、先輩に恋心を寄せられる黒髪の乙女のお話です。
曲者だらけの街で流れる目茶苦茶な毎日ですが、この先輩だけがただただ一貫し、
黒髪の乙女のことを想い続けるのです。 素晴らしきかなこの青春!
黒髪の乙女や周りの方々に振り回されながらも、その姿を追い続ける先輩を応援せずにはいられません。
ああ、恋心というものはかくも人を突き動かすものであったか!
特異でいて趣ある学生生活をリズミカルかつファンキーに描いております。
願わくは先輩、そして黒髪の乙女が誰もが赤面するハッピーエンドを迎えんことを!
「なむなむ!」
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