中野書店

ここは中野書店。店舗と商品は、まだない。

2017-01-01から1年間の記事一覧

『手紙』東野圭吾

読了後の何ともやり切れないこの想いを言葉で表現するだけの語彙力を持ち合わせていない事を残念に思う。もし自分ならもっと上手く出来ただろうか、どうにか立ち回れただろうか。出来ていない。もし自分でも、筋書きを知った後でもどうすることも出来ない。 …

『鍵のない夢を見る』辻村深月

言わずと知れた直木賞受賞作です。 言わずと知れたと前置きしておきながらなんですが、初めて読みました。 辻村深月さんの作品がそもそも初めてだったため、まずは賞も取ってるこの本から始めよう、 と安直な考えから手に取った一冊でありました。 それぞれ…

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

「今までの人生で読んできた本をすべて順に本棚にならべてみたい。誰かがそう書いていたのを読んだことがある。そういう気持ちが君にはあるか」 私の心に最も残ったのは樋口さんがおっしゃったこの言葉でした。 とは言っても、この一文が物語の中で大きな意…

『カラフル』森絵都

人間という生き物は、程度の差こそあれど誰しもが“自分自身を演じて”生きているのではないでしょうか。 自分自身でいなければならないという使命感から己を“自分自身”という型に無理やりはめ込み窮屈な思いをしている人も少なくないと思います。 自分らしく…

『ふくわらい』西加奈子

西加奈子さんの本は登場人物みんなが生きていて、人の温もりを感じます。 小説的なキャラなんですが、どこかリアルで。 そんな西加奈子さんの本です。 幼少期から独特の世界観を持つ鳴木戸定。 ふくわらいを唯一の趣味とし、父親に連れられ世界を飛び回った…

『舟を編む』三浦しをん

辞書とは、かくも奥深いものだったとは。 新しい辞書の完成を目指す辞書編集部、そしてその周りの人々の話。 辞書を作るのって大変なんですね。 確かに言われてみたらどう考えても大変なことなんですが考えたことなかった。 主人公は辞書です。『大渡海』と…

『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織

前回記事で紹介した本は大学生についての話でしたが nakanosyoten.hatenablog.com 今回はもう少し若くなり女子高生が出てくるお話です。 6編の作品からなる短編小説集。 それぞれの話の主人公はいずれも女子高生。 裕福な家庭の子が多い、同じ私立女子高に通…

『砂漠』伊坂幸太郎

「俺たちが立ち上がるしかないでしょう?学生の俺たちが。パンクロックの精神はね、馬鹿な学生が引き継ぐしかないでしょう」 大学入学直後の飲み会で、遅れて参加した西嶋がみんなの前で熱く、暑苦しく、語ったところから物語は始まる。 僕(北村)の視点で…